2016年07月22日 14:46
「皆が寝静まっているこんな朝まだきから、ふたたび空に星たちが還る宵闇の頃まで、
ひたすら国を思い民を思い、心をくだき身をすり減らす。
薄氷の上を踏み行くような思いだが、この国を治めるとはそういうことだ。」
FM東京生放送ニュース番組 「TIMELINE」で、報道アナウンサーの古賀涼子さんが朗読された 拙著 、『天平の女帝 孝謙称徳』(新潮社) のプロローグの1節。
そう、天皇とは、すめらみこととは、どれほどに激務であるかを女帝が独白した箇所です。
プロのアナウンサーの朗読により、自分が書いた文章というのに、鳥肌が立ちました。
激務と知りつつ国と民とに責任を果たそうとする女帝の沈痛なまでの決意だけに、きっと天の女帝にも届いたでしょう。
天皇の生前退位が国民的な話題となっています。
私にも、毎日新聞からコメントを求められ 、それを見たFM東京の番組からも生出演の発言の依頼が来たというわけです。
女帝の父君である聖武天皇は、まさに、今上陛下と同じ状況。年齢と体調により、存命のまま娘に皇位を禅定なさいました。
女帝自身、母気味である光明皇后の看病、というきわめて人間的な理由で、退位なさり、上皇になられました。
(まあこの後。天皇や重臣の男たちのいいかげんさに業を煮やし、天網とはそういう安直な役職ではない、と断罪し、二度目の皇位に着かれるのですけれどね。)
そんなこんな、歴史に学べば、現代ひとが直面する課題も、快刀乱麻。
いずれ議論の核になる女性天皇についても、たくさんの啓示にあふれています。

ってことで、まだまだ話題作。
そこで、お誘いです。
8月には京都で、講座をやりますので、この機会にどうぞ!
千年の王城の街・京都で、わずか70年前の戦後になって決められた"天皇についての決まり" を、一緒に考えてみましょう。
なぜ天皇は生きている限り天皇でないといけないのか、なぜ女性が天皇になってはいけないのか。
8/28NHKカルチャーセンター京都教室で
玉岡かおるのカルチャー講座「女性天皇が残した思い」
https://www.nhk-cul.co.jp/nhkcc-webapp/web/WKozaKensakuAc.do
お待ちしてます!