2015年08月31日 18:59

作曲&演奏は、神戸出身の和太鼓奏者、木村優一さん。
よき出会いがあって、あの小説が壮大な和太鼓フージョンの曲となって、あらたな感動をくれます。
8/30、神戸の松方ホールにて、そのお披露目の情熱ライブがありました。
その最後の一曲、トリのナンバーがこれです。

かつて、こんな"和"太鼓があったでしょうか。
圧巻、の一言でした。
よきものを見せてもらった、よきものを聞かせてもらった、という、無条件に満たされる余韻
20周年の記念に作った、という木村さん、その発端は、「ひこばえに咲く」を読んで、自分を重ね合わせたからでした。
「僕もひこばえなんです」
との言にこめられた思いは、さまざまな壁にぶちあたり、挫折を知り、それでも光さす方へ伸びようとする若木のメカニズムそのもの。
りんごの木も、雪にたわみ寒風にさらされながら、遅い春を待って花咲かせ、真っ赤な過日を実らせるのです。
その思いがこめられた曲の雄大さ清々しさに、心を洗われなかった観客はいないはず。

東京から駆けつけてくれた銀座の「ギャラリー悠玄」の高橋さん(写真左)は終始目頭を押さえたまま。
雪深い津軽のりんご畑にある土蔵のアトリエに眠っていた、常田健の 200枚の未発表の絵。それを発掘した人です。
1人の画家が、1人の画廊主を動かし、1人の作家に小説を書かせた。それが小説『ひこばえに咲く』でした。
そしてその小説が、今また1人の音楽家にこれほどの演奏をさせた瞬間。
芸術の可能性に、改めてひざまずきたい。
私の小説が、若き音楽家に力を与えた、そのことだけでも、大きな仕事をしたのだと自分を誇れます。
健さんに、木村さんに、心よりの感謝を捧げます。
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amazonでも買えるそうです。