2014年01月27日 22:06
ここは若松。とある廃屋。
大きな照明が外側から建物の中を照らすこんな風景が突如現れたら、ご近所さんもびっくりですよね。
関門(かんもん)には、鈴木商店ゆかりの工場や倉庫、子会社があり、そうした建物を選んでの撮影は、さすが北九州フィルムコミッションの底力。
神戸だ、と言われてもまったく不審感はありません。

九州というだけであたたかいイメージでしたけど、いやいや、実は玄界灘に臨む日本海式気候で、数日前には雪が降って撮影が中止になったりもしたとか。
私が訪ねたこの日は、おかげさまであたたかく、抜けるような晴天。
みなさん、外に出ていてもなんとか過ごせる感じですが、長時間だけに、ほんとに現場はたいへん。ご苦労さまです。
この日は最大の見せ場の、鈴木商店焼き討ちシーンの撮影でした。
小栗旬さんは、すでに暴徒に襲われ、どろどろで、トレードマークの帽子もなく、眼鏡はふっとんで、紐でくくってあるという芸の細かさ。
そして天海さんが、あの輝かしく美しいお顔を老け役にやつしての熱演なのですから、私としてはもうその姿を見たとたん、ごめんなさいこんな役させてしまって、と涙、涙でした。
そのシーン、焼き討ちに遭った鈴木商店は、こんな感じ。

これ、発泡スチロールなどで作り上げられた虚構だなんて、想像できます?
まだあちこちから煙がくすぶっている様子なんか、すさまじい現実にしか見えません。
いやー、映像の美術さんって、すごい。
この焼け跡に、皆の無事を確かめにやってくるお家さん。
「あんたら、無事か? どうもないか?」
よかった、よかったとほほえみながら見回すお家さん。
うるる~、天海さんが登場しただけで、泣けました。
そこへ、明るい直吉の声。
「店は焼かれたが、だれ一人、欠けとらん」
そう、人が生きてさえあれば、焼け跡に、明日はやってくるのです。
自分で描いた物語というのに、すばらしい役者さん、すばらしい職人芸の皆に恵まれ、感動のドラマとして生まれ変わろうとしている『お家さん』。
テレビの前で、皆さん、一緒にまた泣かされましょう。きっと心が浄化される、そんなドラマになるのはまちがいなしです。