最高峰のピアノを聴く夜 ポリーニに乾杯

2010年10月30日 11:13

 このたび日本がワールド・ワイドにプレゼントする栄えある文化賞、高松宮殿下記念世界文化賞の音楽部門でみごと授賞となったマウリツィオ・ポリーニ氏。その来日コンサートへ行って来ました。
 関西では京都の一夜だけです。
 京都コンサートホールへ行くのは初めてですが、もう15年もたっているのだそう。伝統文化がひしめく京都で、西洋音楽の殿堂として拠り立ってきた歳月、がんばりましたね、っていう感じ。大きくて、近代的で、きれいです。
 ただ、コンサートまでの時間、レストランが一軒しかないので、混むのは必至。ほかにカジュアルなカフェとか、ベンチとか、座って今夜同行する連れを待てるスペースがあれば、開演までがもっと楽しいだろうにと、ちょっと残念。日本人には日本人の、開演までの「道行き」を楽しむ風習があるので、融和させてほしいところです。

 さて、ポリーニです。
 コンサートは昨年のシンフォニーホール以来2度目です。前回はショパン、ショパンで、最高にすてきでした。
 そして今回はバッハ。それも、全曲。いや、すごい。

 登場した時は、ただ品のいいおじいちゃんなのに、ひとたびピアノに向かうと、どこからわき出るのかというエナジーが鍵盤と一体化です。
 うーーん、咳払いひとつせず聴き入りました。
 世界最高峰の老ピアニストは、この練習曲を生涯でいったい何度弾いたのでしょうか。
この晴れ舞台で陶酔の時間に収束させるまでに費やされた彼とピアノとの時間を思い、なぜか「やるぞっ(何を?)」と、ツッコミつきでいわれなき元気がわいてくる私なのでした。
 短い人生、やはり最高のものだけ見て聴いて渡って行けたらそれ以上の幸せはありませんね。