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Oh,no! それでもまだ行く。お能の日

2008年06月01日 21:44

 はい、タイトルどおり、懲りない玉岡はまだ行くのです。今日は龍野アクアホールで開催される「たつの能」。龍野市は、世阿弥のお母さんの里だそうです。
 まだ能はよくわからない私ですが、なにせ、フェリシモさん主催の「にほんの習いごと・こと始め」の教室ですばらしい小鼓の演奏を聴かせてくださった久田陽春子さんが出演なさるので、そりゃもう、声が出ようが出まいが行くのです。 

 ただ、時折、咳が嵐のように出始めると止まらなくて、幽玄な空気の会場をぶちこわし、ご迷惑をかけるかなあ・・。それが唯一の心配。それに、風邪薬は、そうでなくてもよく船を漕いでしまう私を眠くするだろうし。
 対策として、のど飴を一袋、それにお茶も持ち込み、風邪薬は朝から飲まずに、いざ、出陣。

 心配していたものの、なんと、居眠りなどいっさいせず、最初から最後まで観られた! という初めての快挙。これはやはり、舞台のすばらしさの手柄というものでしょう。
 演目は、狂言が、人間国宝茂山千作さんによる『魚説教』、お能が大槻文蔵さんのシテで『清経』。
 小鼓の久田さん、女性であることなどかき消す存在ぶりで、磨き抜いた小鼓の音はこーん、と澄んで、毎度のことながら、ああ、心洗われました。
 
 さて、「音取り」という演出が一つの見せ場でもあるこの『清経』、笛方の藤田六郎兵衛さんが、無条件にすごい。いや~、鳥肌たちました。
 橋掛かりの向こう、幕を凝視しながら吹く笛のとぎすまされた音。なんていうか、ものがなしいのに勢いがあって華やかなんです。あれじゃあ、亡霊だって出ないわけにはいきませんよ。
 で、出てくるんです、海に沈んだ平家の公達の霊が、本当に。作家、世阿弥は大まじめにこの作品をそう書いたんですよ。
 お能には、霊が語る、っていうストーリー展開が多いんだなとは思ってましたが、何もそれは荒唐無稽な設定ではないってこと、ようやく知りました。この世のものとも思えない美しい笛の響きが、この世とあの世の境界をさまよう者たちの心をも強く打ち、つい、もっと聞きたくて、姿が見えてしまう領域まで近寄って聞きに来させる。──そういうリアリティのある音色って、ほんとに存在するんですね。

 これ、家で風邪薬を飲んで寝てたら見られなかったんですものね。 いやいや、幸せな日でした。
 

 
 
 
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