初夏

サイン会大入御礼

 ありがとうございました! ジュンク堂神戸店さんでのサイン会、たくさんたくさん来てくださって、本当に、ありがとうございました。

 こんな時しかお会いできないお顔、いつも応援してくださるお顔、初めましてのお顔、それぞれにうれしく、たのもしく、心に刻みつけ、今日のお顔はずっと大事にさせていただこうと思いました。本当にありがとうございました。

 それにしても、やっぱり今回は男性読者が多いのが大きな励ましです。神戸は地元だけに、「うちの親父が鈴木商店にいたんだ」とおっしゃる方もいらして、ご縁に感動でした。やっぱり、鈴木商店をこんなふうに描いた小説が今までなかったからですね。ぜひぜひ、このすごい商社の足跡を堪能してください。

 それにしても、朝、出かける前は、私、ちょっと緊張してたんです。テレビでも講演でもぜーんぜん緊張なんかしたことないんですが、やっぱり、だーれも来てくれなくて閑古鳥が鳴いたら書店さんに申し訳ない、東京から来てくれる出版社にも申し訳ない、と考え出したら震えもします。
 そんな時、家の玄関で、義母が一人、突っ立って、ぶつぶつ、何か読んでます。そんな寒いところで何をしているの、と声をかけたら、講演会用に出版社が作ってくれたポスター、使わない間は玄関に飾ってるのですが、義母はその文面を読んでいたのでした。そこにはざっと作品のあらすじが書いてあります。
「『お家さん』・・・て、あんた、これ書いたんか」
 はい、そうです、ずっと前からそこに飾ってるんですけど。
 まあしかたのないことです、しっかりしていた彼女も、寄る年波には勝てず、今はデイサービスでお世話になってる高齢の身ですから。
 ところが、このときははっきり、私にこう言ってくれるんです。
「たいしたもんや。誰にもできることやない。あんた、ようまあ勉強して、立派なもんを書いたんやなあ」
 思わず、顔を見入りましたよ。
「いや、ほんまや。これはぜったい賞ももらえるで。立派なもんや」
 そ、そんな、…おばあちゃん、褒めすぎでしょう。だいたい、読んでないのになぜわかる?!!
 介護生活に入って、日に日に忘却の部分が増していく義母ですが、時折、神が宿るんですかねえ。なぜかすごく励まされ、思わずほろり。苦労した作品だけど、義母の言葉に報われたような気になりました。
 その言葉、みごと的中したことになるんでしょう、おかげでサイン会は盛況だったんですし。
 いやいや、ほんとにありがとうございました。
 
お家さん 上巻 (1) お家さん 下巻 (3)

 
by 玉岡かおる  at 21:39 |  日記 |   |   |  page top ↑
プロフィール

玉岡かおる

Author:玉岡かおる
兵庫県三木市生まれ。神戸女学院大学卒業。1989年、神戸文学賞受賞作の『夢食い魚のブルー・グッドバイ』で新潮社より文壇デビュー。2007年11月「お家さん」刊行

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