祝! 週刊新潮「私が選んだベスト5」に選んでいただく

 現在書店に並んでいる『週刊新潮 新年特大号』ごらんになりましたか?
 なんと、「読む・見る・聴く 年末年始お薦めガイド Book Selection 私が選んだベスト5」で、児玉清さんが、『お家さん』を挙げてくださいました。

 児玉さんには、『波』の対談でも、また広告でもお世話になってばかり。稀代の読書家で知られる方だけに、仕事以外でも仕事でも、ハンパじゃない数の本を読まれているはずですが、それにもかかわらず、個人的なチョイスにこの本を選んでくださったのは、ほんと、感激です。

 たしかに、上下巻2冊組の大長編は、年末年始、たっぷり時間のある時に一気読みしていただくのがいちばんかもしれません。

 かく言う私も、年賀状を出した後は本年の仕事らしい仕事はすべて終了。このガイドをもとに、読んでみたい本を選ぼうと思います。
 ではではみなさま、よい本といっしょに、ぜひぜひ、よいお年を。

冬柴国交大臣、井戸知事と三人で 新春鼎談を録る

 早いもんです、クリスマスが過ぎると一気に年の瀬。今日はラジオ関西で1月1日元旦に放送する新春鼎談「ひょうご初夢鼎談」を、県の公館で録りました。 
 現役大臣の多忙な予定と知事の多忙な予定をみごとにつなぎ、日程調整に制作サイドは四苦八苦だったようですが、なんとかこの日が来て、まずはよかったよかった。

 知事とはもう何度も新春対談をさせていただいてるし、お話も慣れてお上手なので何の懸念もありませんが、大臣は初対面だし、SPはじめ、おつきの方々の数もズラリものものしくて、ちょいビビリます。
 でも、いざ鼎談が始まってみると、お二方ともお話好きだし、いいオジサン(!?)だし、実になごやかに話がすすみ、うっかりすると時間配分も忘れそう。
 なんといっても、道路、港湾、空港、そして観光と、ほんと、国土交通省が仕事としなければならない守備範囲の広いこと。また県民の一人として、こうしてほしい、ああしてほしいとのリクエストもいっぱいですが、とりわけZくんという走り屋のラ・マンがいる私としては、渋滞なしに走れる道路を、播磨地方に早く整備していただけるよう、強くお願いしたいところです。
 
 そんなこんなで、放送時間は一時間しかないのに、倍の時間があっというまにすぎました。さあ、ディレクター、編集がんばって〜。
 放送は平成20年1月1日、夜8時から、530ヘルツのラジオ関西です。お楽しみに〜。

内橋克人さんと神戸を語るの記

 新聞の特別企画で、経済評論家の内橋克人さんと対談。
 うれしいことに、「お家さん」贈呈しようと持参しましたが、すでに読んでくださってました。
 「よく書いたねえ」と言ってくださり、しばし、ご親交のあった城山三郎さんの思い出話に。城山さんの作になかった女の視点をお褒めいただきました。
 内橋さんといえば神戸ご出身、しかも経済記者ご出身。鈴木商店について思い入れもお強いはずで、ほめていただけたのはなんともうれしいかぎり。神戸には他にこんな傑物がいるよ、と次なる作品へのご示唆までちょうだいし、ほんと、そろそろ次の作品を考えなきゃと現実にひきもどされたことでした。
 対談の中身をあまりここで喋ってしまっちゃいけないんですが、神戸は記憶を探すための町、とおっしゃる言葉のうちに、私も同じく、遠い歴史という記憶の中から会ったことも見たこともない人々の生きた跡を探し出しているのかも、と思いました。
 奇遇なことに、内橋さんはなんと私の高校の大先輩。戦時中の疎開で、数か月、旧制小野中学に通われたのだとか。これもご縁ですね。
 いつしか兵庫を語る、という新聞企画のテーマをはずれ、神戸の炎の歴史、兵庫の農の可能性、そして日本の未来についてまで、時間を忘れて話していました。実り多い邂逅に感謝。

直どんも緊急参加! 大盛況御礼/神戸栄街での一日文化サロン

 きょうは鈴木商店ゆかりの栄町に現存する大正時代の文化財ビルをお借りしての、玉岡かおる・一日文化サロン。いわば玉岡かおるの感謝祭です。
 もっとも、実費を頂戴しての有料の会ではあるし、会場もあまり知られていない場所のようだし、なにより、私も初めての試みなので、さあ、うまくいくかどうか。

 不安からスタートしたものの、ホームページで受け付けをさせていただいた後、神戸新聞さんでご案内させてもらったところ、なんと、お申し込みが殺到。受け付けの電話が開いてわずか1時間で満席になり、キャンセル待ちも超過で、ついにはお断りさせていただくという申し訳ない事態になってしまいました。
 ほんと、こんな大盛況で、ありがとうございます。そして、今回先着から洩れた方々、ごめんなさいです。

 さてきょうは朝から雨というのに、会場は満杯のお客様。もちろん「お家さん」の読者が中心でしょうが、まだ読んでいない方でも、鈴木商店に関心のある皆様ばかり。驚いたのは、地元の研究家の方がご参加くださり、なんと、金子直吉氏の銅像を持参してくださったこと。
聞けば、お父上が戦前に須磨にあった金子邸を買い受けてしばらくお住まいだったそうで、そんなご縁から、この銅像もどこかの古道具屋さんでつい買ってしまったものだとか。
 急遽、演題の上に鎮座いただき、みなさんとの時間をともにしました。
 いや〜、まさか直どん、いらしてくださるとは。 
 
 今回は、小説の第二の舞台である台湾の写真をご覧いただくということで、台湾観光局からどっさり、ファイルブックにマップやガイドブック、ボールペンなど、資料もご提供いただきました。
 むろんメイン舞台の神戸についても、国土交通省神戸港湾局から「神戸のみなとマップ」をちょうだいして。
 きっとイメージが広がったでしょう。

 そして、私の話のあとは、元町のはた珈琲店のおいしいコーヒーと風月堂さんのお菓子でティータイム。
 台湾取材時の写真は、その時同行してお世話になった若林純氏に協力をいただいてスライドショーでご覧いただきました。大正時代の写真、原住民の姿もモノクロの中に映っていて、日本統治時代をしのばせる貴重な画像は、私も珍しかったなあ。

 さらに、最後は全員に当たる抽選会で、ことし最後の運だめし。どうです、内容的には、これでもか状態の盛りだくさんの感謝デーでしょ。
 ちなみに、プレゼントにご用意したのは、まず新潮社提供によるオリジナルグッズの大放出。
 それに、兵庫県立美術館の「ムンク展」ペアチケット、兵庫県立歴史博物館も開館記念ハンドタオル付きペア入場券がそれぞれ10本ずつという豪華版。
 サンテレビからも、人気で品薄の「おっサンテレビ」タオルをプレゼントです。
 もっとも、一番は、私のデビュー作『夢食い魚のブルー・グッドバイ』の、絶版になったハードカバーのサイン入り。のはずなんですが、どうでしょね。
 
 いやいや、アンケートにも、皆さんの「大満足!」というお声が反響しているようで、うれしかったです。
 またやるかどうか、気力とスケジュールによりけりですが、そのせつはまたこちらホームページでご案内します。お楽しみにね。

神戸岡田会で乾杯の音頭を取るの巻

 今日は神戸岡田会の恒例パーティ。
 毎年10人からの仲間を引き連れての参加ですが、今年はわたくし、5人様ご一行。全体では200人の参加がありました。
 な、な、な、なんと今年のサプライズは、私に乾杯の音頭をとれとのご命令。
 いつもミーハーでパーティを楽しませてもらっている私としては、えっ、なんで私が? と急に緊張してしまいました。
 だってそういうお役目は、オッサン、もとい、男性の偉い方の役どころでしょ。オバハンが勤める役ではありません。

 案の定、スベりましたぁ。
 乾杯、のタイミングがわからなくて。
 いや〜、ずっこけた皆様、おゆるしくだされ。

 でも、パーティは楽しかったです。なんせ私は上園投手、広沢コーチと同じテーブルでしたのじゃ。
 お二人とも、一緒に写真を、とすぐにファンに取り囲まれる人気者ですが、食事中でも嫌な顔ひとつ見せず、すっくり立って撮影に応じてくれます。
 ファンあっての野球です、とおっしゃる広沢さんの自然なこと。いや〜、ブラウン管を通してはなかなかわからないお人柄にふれられるのも神戸岡田会ならでは。

 優勝してもしなくてもこどんなことがあっても高い会費払ってここへやってくる熱い仲間と一緒に、神戸の夜をしばし楽しんだことでした。
 ちなみに今年の抽選会では、私はボウズ。いつもたいてい大物つり上げるんですけど・・。いやいや、こんなとこで運を使っちゃならぬ、との啓示かもしれません。
 来年こそは、いい年になりますように。

思いがけなく、お家さんの墓参り

 今日は、長くお世話になった出版社の編集デスクS氏が来神。いや、匿名の必要はないですね、11月に出版された『ワインをめぐる小さな冒険』(新潮新書)の著者、柴田光滋氏です。
 この本、心からワインを楽しむ著者の姿勢そのままに、読者と、ともにワインについての出会いあれこれを語り合いましょうという文体で大好評発売中。
 お互い同じ月に本を出し、またお互い増刷もかなったということで、祝杯を挙げましょう、とあいなったわけです。
 もう紅葉は終わってますが、祝杯には神戸の山と海とを同時に味わえるトゥール・ドールへ。

 お料理はですね、前菜が秋限定いろいろなきのこの温サラダ、魚は私が赤甘鯛のうろこ焼き、柴田氏が好物の鱈、お肉はどちらも牛タンの赤ワイン煮込みというランチメニュー。
 そして飲み物は、まずシャンパンで乾杯して、シャブリにすすんで、ここからが柴田氏の本領発揮、ワインリストをにらみソムリエと語り合いながら選び出したのが、モレ・サンドニのcles de la Bussiere、G.ルミエールという作り手による1999年の赤、というもの。いや、うまい。(すみませんね、それしか表現の余地なしというできすぎたワインでした)

 あ〜満腹というところへ、電話をくださったのが太陽鉱工さん。ご存じ、鈴木商店の後継ともいうべき会社で、私が、かねて、よねさんのお墓参りをしたいと希望していたのを、ご案内してくださるというお電話でした。
 聞けば、お墓は、今私がいる場所から、すぐ近く。
 じゃあ腹ごなしに歩いて行ってみましょうか、と柴田さん。いや〜、これもご縁です。その一言がなければ、私のことです、また今度、と引き延ばしていたかもしれないです。
 こうして、思いがけなく、ワインの余韻を漂わせながら、お墓参りへ。

 小説でも描いたカネタツ印を石碑に刻んだ、岩次郎建立になる鈴木家のお墓は、海を正面に見据える一等高い場所に立っていました。
 周囲には、『お家さん』に登場するおもだった人物がずらり。
 西川はん、柳田の富士どん、金子の直どん。みな、忠義な生きざまをそこにとどめるように、死してもなおお家さんに侍する風情で、そこに。
 ああ、お世話になりました、やっと書き上げましたと、我知らず頭を垂れていました。

 みなさん、よう来たな、そして、ようがんばって書きあげたな、とでも言ってくださるように、お花とお線香をそなえる間、石碑の上には静かで、おだやかな空気が流れていきました。
 思えば、早く顔を見せに来なさいと、呼んでくださったのかもしれませんね。

 今だから言えますが、千枚書いた原稿のファイルが消えたり、資料との照合がうまくいかなかったり、キャラクターが思うように立ち上がらなかったりと、ほんと、何度だめだ書けない、と投げやりになって、数え切れない苦労はしたんですよ。でも、脱稿するまで私が書きぬくという気力を失わなかったのは、ずっと、ここに眠る方々の、見えないご加護があったからにちがいありません。
 おかげさまで、作品は、大勢の読者の海へと旅立っていきましたよ、とご報告をして、来た道を引き返しました。思いがけなく、宿願達成の午後でした。 

ニューフェイス博物館のすごいこと

 今日は9月に新築オープンしたばかりの兵庫県立考古博物館で講演でした。
 テーマは、「歴史は博物館をとびだして」。
 できたばかりの博物館に、来い、とか、入って、とか言わない先から飛び出そう、なんて、いささか乱暴かもですが。
 でもでも、たくさん聞きに来てくださって、ありがとうございました。

 企画段階から考古博物館検討委員会メンバーとしてコンテンツの議論から設計のコンペまでずーっとかかわらせていただいてきた私が言うのも身びいきのようですが、兵庫県が誇る博物館です。とは言いながら、私、開館式典の碑は他のスケジュールがバッティングしてて欠席だったもので、実際に来るのも見るのも今日が初めて。

 いや〜、すばらしいの一言に尽きます。まだ行ったことのない方、これはぜひ、行く価値はあり、です。
 ルミナリエでにぎわう神戸や、来年菓子博で話題になる姫路、どちらからも距離は遠くないから、ぜひ観光コースのひとつに組み込んでほしいくらい。

 展示は原寸大を基本としたというだけあって、ど迫力。それぞれが見せてくれる太古の世界のワンシーンも、ぐっと想像をかきたててくれます。従来の、かび臭い展示物を大事そうに眺めるだけの博物館でないことだけはたしか。
 まあ心配なのは、せっかくこれだけの箱モノを持ちながら、来館者が減って税金のムダ使い、なんて言われないように、ってことだけですか。でも、こんな居心地のいい場所、一日、ここでずーっと遊んでいられる身運になりたいなあ。

顔見世でおおいに寝てしまうの記

 ここのところ、お芝居や歌舞伎、なーーーんにもみていません。そんな余裕もないほどのバタバタぶりでした。
 いや、いけません。人間、好きなものまで失っちゃ。
 ってことで、行かせていただきました、京都南座、顔見世へ。

 でも、やっぱり疲れがたまってたんですかね、京都まで電車の中で大爆睡。ぼーっとした頭で降りたもんだから、ウエストにワン・マークで付けていたスカートとおそろいのベルトを落としたことも気づきません。しかも、タクシーの中で、お気に入りのペイズリーのブローチ、しっかり留めたはずなのに、降りる時には胸に見あたらず。きっとベルト同様、電車を降りるまでにはすでになくしていたのかも。
 人間、しめつけていたものから解放されると、楽だもんで、ついその変化に気づくのが遅いようです。
 今日の損失、大。
 アクセサリーって、持ち主に大事にされてない、ってわかったら、こうやってみずからほろりほろりと離れていくんですかね。今まで、落としたイヤリング(痛がりの私はピアスの穴を開けられないもんで)、腕時計、ベルト、数知れず。とほほ、私が高価なものをつけられない理由がこれです。
 なんせいつもバタバタ、ガサガサ、してますからねえ。

 そんな犠牲を払っての(?)顔見世でしたが、いかん、これが、眠い、眠い・・・。
 歌舞伎を見始めた頃は、よくわからないもんだからついつい眠ってしまってもったいないことをしたものですが、年期が入った最近では珍しい船こぎ。
 昼の部だったのですが、しょっぱな、ちっとも華やかじゃない演目、一人の女形の出てこない幕末もので、きっとコマ劇場で松平健がやった方がもっとおもしろいのでは、というようなだしものだったのがいけませんでしたか。
 勧進帳も、幸四郎を京都で見られるのは新鮮だったけど、なんだか唯我独尊って感じがしたし。
 ようやく義経千本桜のいがみの権太で泣かされて、ああ歌舞伎を見た、って気がしましたわ。
 あんまりがむしゃらに仕事しすぎて、まだもとの道楽者にもどれないみたい。これから少しずつ、復帰していきますぅ。

国境の虹

 北に向かってただまっすぐZくんを走らせていた私、国境を示す山と山のあわいに、うわ〜、虹が!!
 峠の向こう、隣国は雨。それを、晴天のこちらの国の日差しが反射しているんですね、こちらの山からあちらの山まで、谷を大きくわたる完璧な半円を描いた虹です。

 この話、「国境」の字は、くにざかい、と読んでください。Zくんは、播磨の国から但馬の国へ、あさご市へと向かっております。
 今日はあさご芸術の森美術館で、講演です。

 すごいでしょ、こんな山の中に美術館ですよ。夏には国際音楽祭ですからね。玉岡かおるも出講するってもんです。
 『銀のみち一条』でお世話になった生野町もあさごですしね。
 お越しくださった皆様、ありがとでした。完璧な半円を空に描いた虹をくぐって、ふたたびZくんで走り出します。

またまた増刷です、ありがと〜!!

 先日重版かかったことをお知らせしたばかりですが、ありがとう、また重版です。
 これで3刷り。
 うれしい〜!!
 みなさまのおかげです、感謝いたします!

 実はきのう、義母の介護認定の更新日だったんですよ。調査員の方との面接があったんですけどね、いや〜、こんな時に限って、義母ったら妙にハイで、陽気で、私がひとしきり話を聞いてもらっている間にいったいどうやって淹れたんだか、お茶まで出して調査員の方をねぎらったりするんですからねえ。なんでこんな時にかぎってそんなことができるの、って唖然ですよ。
 あ〜あ、また認定は低いでしょう。ハア〜。
 いい作品書いていい仕事するには、なんとか公的制度で助けてもらおうって思ってましたけど、こうなったらやけくそ。なんせ、こんなにたくさんの皆様に買って読んでもらえるこの本が何よりの味方です。
 我が家の介護生活、まだまだ序の口。先は長い、がんばります〜。

ありがとう、『お家さん』重版かかりました!

 今日は雑誌のインタビューがあって上京する機会を得、旧鈴木商店の関連会社の双日さんの本社をご訪問させていただいてきました。
 ご存じ、旧・日商岩井。金子さんが作った日本商業、そして高畑さんや永井さんが作った日商の流れを汲む大商社です。
 今回、『お家さん』上梓にあたって、私は過去に流れた歴史を書いたつもりでも、現在なおもその流れから出て前進なさっている方々にご迷惑をおかけしてはいけないと、それが何より気がかりでしたが、出版前のバウンドプルーフを読んでいただいた双日さんからは、そんな私の危惧をふきとばしていただいたばかりか、おもしろかった! とお褒めいただき、なんと、社員はぜひこれを読むべきとまで言っていただいて、たくさんたくさんお買いあげいただくという僥倖。うーー、なんて幸せな作品でしょう。著者冥利に尽きますぅ。
 下巻ラストでおよねさんがまいた種から生い茂った木々は、著者の私が生きるこの現代の地上に、しっかり根を張り、なお天高く伸びていたっってことですね。書き上げた時には想像もしなかったおよねさんという木の大きさと、そのご縁とに、ただ圧倒されています。

 そしてこの日は、なんと、やはり旧鈴木商店のひと枝を受け継ぐ神戸の太陽鉱工さんが、年に一度、東京の双日さんと交流すべく懇親会を持たれる日だとか。なんという奇遇でしょうか。
 よかったらいらっしゃいませんか、とお誘いを受け、あつかましくもおじゃまさせていただきましたが、まあこんな集まりって他にはないのでは。だって、百年の昔、同じ商店という大樹からから枝わかれしながら、今なお一つの母木の根方をわかちあうきょういだいのように、へだてなく交流されているんですから。
 これが歴史、これが人垣、これが事業というものでしょうか。自分が書いた小説世界が現実世界でこれほど熱い体温をもって続いている事実に、なんだか、じんとしました。

 そしてなんと、インタビューにもどった新潮社で、増刷決まりました、のお知らせが。
 こんな嬉しいことってあるでしょうか。
 ありがとうございました。
 『お家さん』、まだまだがんばります。どうぞとことん応援くださいませ!


お家さん 上巻 (1) お家さん 下巻 (3)

 

サイン会大入御礼

 ありがとうございました! ジュンク堂神戸店さんでのサイン会、たくさんたくさん来てくださって、本当に、ありがとうございました。

 こんな時しかお会いできないお顔、いつも応援してくださるお顔、初めましてのお顔、それぞれにうれしく、たのもしく、心に刻みつけ、今日のお顔はずっと大事にさせていただこうと思いました。本当にありがとうございました。

 それにしても、やっぱり今回は男性読者が多いのが大きな励ましです。神戸は地元だけに、「うちの親父が鈴木商店にいたんだ」とおっしゃる方もいらして、ご縁に感動でした。やっぱり、鈴木商店をこんなふうに描いた小説が今までなかったからですね。ぜひぜひ、このすごい商社の足跡を堪能してください。

 それにしても、朝、出かける前は、私、ちょっと緊張してたんです。テレビでも講演でもぜーんぜん緊張なんかしたことないんですが、やっぱり、だーれも来てくれなくて閑古鳥が鳴いたら書店さんに申し訳ない、東京から来てくれる出版社にも申し訳ない、と考え出したら震えもします。
 そんな時、家の玄関で、義母が一人、突っ立って、ぶつぶつ、何か読んでます。そんな寒いところで何をしているの、と声をかけたら、講演会用に出版社が作ってくれたポスター、使わない間は玄関に飾ってるのですが、義母はその文面を読んでいたのでした。そこにはざっと作品のあらすじが書いてあります。
「『お家さん』・・・て、あんた、これ書いたんか」
 はい、そうです、ずっと前からそこに飾ってるんですけど。
 まあしかたのないことです、しっかりしていた彼女も、寄る年波には勝てず、今はデイサービスでお世話になってる高齢の身ですから。
 ところが、このときははっきり、私にこう言ってくれるんです。
「たいしたもんや。誰にもできることやない。あんた、ようまあ勉強して、立派なもんを書いたんやなあ」
 思わず、顔を見入りましたよ。
「いや、ほんまや。これはぜったい賞ももらえるで。立派なもんや」
 そ、そんな、…おばあちゃん、褒めすぎでしょう。だいたい、読んでないのになぜわかる?!!
 介護生活に入って、日に日に忘却の部分が増していく義母ですが、時折、神が宿るんですかねえ。なぜかすごく励まされ、思わずほろり。苦労した作品だけど、義母の言葉に報われたような気になりました。
 その言葉、みごと的中したことになるんでしょう、おかげでサイン会は盛況だったんですし。
 いやいや、ほんとにありがとうございました。
 
お家さん 上巻 (1) お家さん 下巻 (3)

 
プロフィール

玉岡かおる

Author:玉岡かおる
兵庫県三木市生まれ。神戸女学院大学卒業。1989年、神戸文学賞受賞作の『夢食い魚のブルー・グッドバイ』で新潮社より文壇デビュー。2007年11月「お家さん」刊行

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