初夏

エクウス「馬」の衝撃

 芸術劇場で、劇団四季のストレートプレイ、「エクウス」を見てきました。
 毎度、行くたびこの劇場はすごい、と思う。
 舞台上、まるで格闘技のリンクのようなしつらえのステージで、ナゾの事件--馬の目を愛すピックでつぶした少年の犯罪--の解明がすすむのを、観客までが舞台上の傍聴人席に取り込まれて、ともに真相を黙劇させられるのだ。
 思えば、青少年の心の闇が引き起こす事件というのは、古今東西、いつでも世間を、大人を、驚かせてきたのだ。そして、どれ一つ普遍性はないのに、ああそういう心理ならわかる、と人の心の複雑さに共感したりする。それをみごとにお芝居に表現した、上質の芸術作品がこれ。「エクウス」、ほんとうにミステリアスな舞台だった。まだ少しふしぎな気分が抜けないでいる。
 もう何度も再演された、決して新しくないお芝居なのに、その新鮮さといったら。人間の行動や心理は、時を経てもけっして古びないということなのだろう。
 いいお芝居を見た後は、まるで別の空間で別の人生の時を生きたような、そんな妙な体験だ。そして、それだからこそ、やっぱり劇場通いはやめられない。 
by 玉岡かおる  at 23:01 |  日記 |   |   |  page top ↑
プロフィール

玉岡かおる

Author:玉岡かおる
兵庫県三木市生まれ。神戸女学院大学卒業。1989年、神戸文学賞受賞作の『夢食い魚のブルー・グッドバイ』で新潮社より文壇デビュー。2007年11月「お家さん」刊行

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