2007年07月14日 23:01
毎度、行くたびこの劇場はすごい、と思う。
舞台上、まるで格闘技のリンクのようなしつらえのステージで、ナゾの事件--馬の目を愛すピックでつぶした少年の犯罪--の解明がすすむのを、観客までが舞台上の傍聴人席に取り込まれて、ともに真相を黙劇させられるのだ。
思えば、青少年の心の闇が引き起こす事件というのは、古今東西、いつでも世間を、大人を、驚かせてきたのだ。そして、どれ一つ普遍性はないのに、ああそういう心理ならわかる、と人の心の複雑さに共感したりする。それをみごとにお芝居に表現した、上質の芸術作品がこれ。「エクウス」、ほんとうにミステリアスな舞台だった。まだ少しふしぎな気分が抜けないでいる。
もう何度も再演された、決して新しくないお芝居なのに、その新鮮さといったら。人間の行動や心理は、時を経てもけっして古びないということなのだろう。
いいお芝居を見た後は、まるで別の空間で別の人生の時を生きたような、そんな妙な体験だ。そして、それだからこそ、やっぱり劇場通いはやめられない。