新幹線でたどりつく「エビータ」

 今日は京都劇場へ「エビータ」を見に。
 ところが、朝のうちにJR高槻あたりで人身事故発生とか。駅はもう大混乱です。
 新快速はまったく動いてないと言うし、普通だって、いつ来るか。

 そこで頭をひねって、たまたまやってきた下りの普通に飛び乗り、姫路へ。そこから新幹線で京都へ向かえば、事故現場は通らずに行けるでしょ。アッタマいい〜。
 だけど、京都ってそんな遠いとこだっけ??
 新幹線に乗るとまるで旅気分。こうなると、たった40分ほどでおりるのがあっけないくらいです。
 
 まあそんなヤキモキを乗り越え、たどりついた劇場では音楽と夢がいっぱい。
 ひさしぶりの公演に合わせ、新しくなった舞台は、たしかに以前見たものと大きく変わった舞台美術がまず目を引きます。この作品の時代の契約では、著作権は脚本と楽譜に限られていたそうで、こうした新しい演出が可能なんだとか。
 進化する作品をたっぷり堪能し、「♪泣かないで、アルゼンチーナ…」と、あの名曲を口ずさみながら駅まで来たはいいけれど、なんと、まだダイヤは復旧してない!
 まる半日もかかるなんて、いったいどんな事故だったんでしょう。
 しかたないので、また新幹線をはりこんで、帰りました。
 いやはや、便利さに慣れたこの暮らし、どこかがほつれたら、予定遂行には、3文の知恵も悪知恵も総動員で、めいっぱいアタマ働かす結果となるようで。
 だからなおさら、すべてを清算してくれるミュージカルの名作に浸った時間がひきたつのかも。です。

初めてヘリコプターにて播磨を見るの記

 我がラ・マンZ4を駆ってのドライブはいわずもがな、台風回避の7時間の鉄道も屁ではなく、単独旅行のヨーロッパ便も苦ではないという乗り物好きの玉岡ですが、ヘリは、この長い人生、いまだ乗ったことがありませんでした。
 それが、思いがけなく、国交省近畿整備局姫路工事事務所の調査飛行に、文字通り便乗させていただき、ふるさと播磨を眺めさせてもらってきました。
 8月8日、「道の日」に、ラジオ関西で生放送される道の日特番に出演するのですが、そこで語らせていただくにも、播磨の現代の道がいったいどういうありさまなのか、私にとってもまたとない調査。
 Zくんで走っている時に感じるとおり、姫路バイパス、第二神明、やっぱり出口でつかえて混み混みで、運転中なら、なんでこんなに混むのよ、と口汚くののしっているところですが、渋滞がどういうメカニズムで起きているのか、上から眺めれば納得もでき、諦めもつくというもの。
 それにしても、なんとかしてほしいものですわ。

 道以外にも、地上で見るのと、空中から見下ろすのとでは大違い。とりわけ、今年度いから会長にも就任して大まじめに取り組んでいる「いなみのため池ミュージアム」がらみで、空から見下ろす播磨は、まさしく“ため池王国”。
 あそこにも、こちらにも、よくまあこれだけたくさん、しかも大きく広く、その原始的な工事能力で築いてきたものです。あらためて、先人たちの努力と勤勉さに頭が下がります。

 そして、川。拙著『をんな紋』でも描いたように、降水の少ない播磨において、地上を刻んで流れる河川の悠然たる流れは、まさにいのちの流れ。銀色にくねりゆるやかに流れる川にはちょっと感動でした。

 視点が変わると感覚も変わります。この体験、ぜひ何らかのかたちで役立てなければね。

 

海老蔵の怪我の降板、でもラッキー!

 雨が降ろうが台風が来ようが、日本海回りだろうが、どうしたって帰らにゃならんその理由。
 それは・・・はい、今日は、松竹座へ、歌舞伎を見に行く日なんですわい。そりゃ何があっても、這ってでも行くでしょ。話題の海老蔵も見たいですしね。

 ところがところが、私の不運は続く。なんとその海老蔵、お風呂でガラス割って踏んで15針だか17針だか縫う大怪我で、きょうから降板、って言うじゃないですか。
 そんなんありか〜!!?

 どこまで続くこの不運。せかっかく着物まで着たのにさ。
 エビ抜き天丼、ファンも切符代返せと暴動起こすでえ。・・などと思いきや、それは代役が誰かわかるまでのあさはかな考えちゅうもんでした。
 なんたって、代役は、仁左衛門でっせ! 女殺し油地獄のこの役で大当たりをとった出世作は、年齢のこともあって、仁左衛門自身、もう演じないと封じ役にしていたお宝同然の役どころ。
 それを、なんと、生きてこの目で見られるとは!!

 いやあ、すごかったです、仁左衛門。
 観客席みんなして息を呑む殺人を目撃させられ、声も出ず、ただその演技のすごさにただただ鳥肌たてて微動だにできません。
 やっぱり近松ってすごい書き手ですね。それをみごとに演じた、仁左衛門、さすがです。ああ、日本人に生まれてよかった、歌舞伎のすごさってもんを目のあたりにさせられましただす〜。

 申し訳ないけど、海老さま休場のおかげで浴したこの幸運。 これならもうちょっとゆっくり怪我の治療に専念しといてもらってもいいかもね。なんせ彼は若いんだし、またいつか、仁左衛門にせまる女殺しを見せてくれますように。
 エビ抜き天丼、かえって、ごっつあんでしたあ。

 

 

台風のえじきになるの巻

 台風の時は、東京への往来はひやひやです。なんせ以前、三河安城で新幹線に閉じ込められたこともありましたし。
 今回のブロードキャスター出演も、行きはよいよい、まだ台風は四国に接近中ってことで、なんとか移動も無事でしたが、帰りはモロに出くわしちまいました、7号に。
 東京駅では、朝から新幹線は運休。東海地方で大河の水位が上がってるとかで、運転は始発から見合わせ中。
 どないしよ、私、午後から加古川で「いなみのパールプロジェクト」の総会があるっちゅうねん。

 「川の増水でしょ。台風こっちに来てるでしょ。そりゃ、通り過ぎるまで水は下がらないし、新幹線も今日中は動かないんじゃない?」
 そう予言するのはタクシーの運転手さん。
 えーーー、そんなん困る。今日の総会はもう無理と悟っても、私、明日は明日で、どーしても大阪にいなきゃならないのよ〜。

 「そんなら奥羽本線で日本海を回って大阪に入るルートなら電車は動いてますでしょ」
 おお、そんな手があったとは。
 それジョーク? とも尋ねなかったのは、やっぱり私、鉄道だいすきなんで。ちょっと旅行みたいでいいじゃないですか。

 喜び勇んで上越新幹線に乗り、高崎から越後湯沢。特急はくたかに乗り換え、日本海に出て金沢へ。そこからはサンダーバードで大阪です。総計7時間の鉄道の旅ですわい。

 十日町あたりで雨もやみ、曇った日本海に出たときはちょっとうれしかったな。黒部あたりでは太陽も出てきたし。
 でも、さすがに金沢では電車にも飽きてきました。
 おまけに敦賀ではうれしくない知らせ。新幹線が復旧したんですと。
 新大阪に着いたら、なにごともなく新幹線は動いてるしね。
 そんなんありか〜。

 急がば回れ、はうそですかい。急がば待て、ってことですね。でも、じっとしていられないイラチな性格のこの私、待ってるなんて、死ななきゃできん。
 あ〜あ、ご苦労さんでしたぁ。

エクウス「馬」の衝撃

 芸術劇場で、劇団四季のストレートプレイ、「エクウス」を見てきました。
 毎度、行くたびこの劇場はすごい、と思う。
 舞台上、まるで格闘技のリンクのようなしつらえのステージで、ナゾの事件--馬の目を愛すピックでつぶした少年の犯罪--の解明がすすむのを、観客までが舞台上の傍聴人席に取り込まれて、ともに真相を黙劇させられるのだ。
 思えば、青少年の心の闇が引き起こす事件というのは、古今東西、いつでも世間を、大人を、驚かせてきたのだ。そして、どれ一つ普遍性はないのに、ああそういう心理ならわかる、と人の心の複雑さに共感したりする。それをみごとにお芝居に表現した、上質の芸術作品がこれ。「エクウス」、ほんとうにミステリアスな舞台だった。まだ少しふしぎな気分が抜けないでいる。
 もう何度も再演された、決して新しくないお芝居なのに、その新鮮さといったら。人間の行動や心理は、時を経てもけっして古びないということなのだろう。
 いいお芝居を見た後は、まるで別の空間で別の人生の時を生きたような、そんな妙な体験だ。そして、それだからこそ、やっぱり劇場通いはやめられない。 
プロフィール

玉岡かおる

Author:玉岡かおる
兵庫県三木市生まれ。神戸女学院大学卒業。1989年、神戸文学賞受賞作の『夢食い魚のブルー・グッドバイ』で新潮社より文壇デビュー。2007年11月「お家さん」刊行

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