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お別れは、ペンで

2007年03月12日 02:32

 川柳作家の時実新子さん、逝く。
 まだ信じられない気がする。
 きっとお元気になってまたお会いできると思っていた。

 新聞社のコメント聴取で逝去を知り、呆然としているというのに追悼文の原稿依頼が同時に3件。どの新聞も、今日の紙面に載せたいからと、締め切り猶予は1日だけ。
 しかも、先に約束してあった、友人の舞台を見に三木市文化ホールに集まる予定があるし。
 それを含めた1日という限られた時間で3本の追悼文を書くのは、精神的にもきつかった。
 物理的にも、3社、同じことは書けないし。
 それでもこなせたのは、きっと私の椅子の背後に時実さんが立って、ふふん、あなたにできるかしらね、と見降ろしていたんじゃないかという気がする。
 そして、できた。
 各作、まるで何かに憑かれていたかのような微熱の文。思わず時実さんに、ほら、これでどうですか、なんて話しかけている私がいた。
 朝、原稿を送ってしまい、午後にはゲラで確認、一字ぶら下がりにまでナーバスになってるなんて私らしくもなかったけれど、コーヒーを淹れて一服したら、そのうち夕刊が届いて、私の追悼文が載っていた。
 自分の文章なのに、泣けた。そこに載っている時実さんの写真があまりにもいきいきしていて。
 本当に、もうどこにもいなくなられたの?

 犬が膝に載ってきて、そのまま仮眠。でも目覚めたら、なんだか頭がすっきりして、生まれ変わった気分だった。きっと、これで、お別れできたのだ。

 金沢からのたより到着、冬がもどって、いつもどおりの雪景色とか。
 よりにもよって花のない、こんな時を選んで旅立った時実さんの、最後のフェイント。凝りに凝った双肩を、マッサージチェアにゆだねる私だ。

    もどり雪 花なき机で きみを書く

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